歯の治療に限ったことではありませんが、
病院での治療は健康保険が適用されていまして、
どの治療をすれば“いくら”という風に、細かく規定されています。
ですから、例えば1本の歯の虫歯を治療すると、
どの歯医者が治療をしても同じ治療費になります。
“時間”がどれぐらいかかったのか?は、全く関係なく、
どのような症状で、どういう治療をしたか?だけが治療費に影響します。
と、なると歯科医院の経営としては、
同じ症状の方であれば、少しでも短い時間で治療を終わらせて、
多くの患者さんをこなせば、報酬は高くなるということにはなります・・・。
が、私の場合は大学を卒業後、
しばらく大学病院で治療に携わっていましたので、
そこでの治療方法が染み付いています。
大学病院ではあまり儲けを追求しておりませんから、
同じ虫歯を治療するのであっても、
かなり丁寧にすることを要求されます。
少し大きめの虫歯になると虫歯の部分を削り、
その部分に詰め物をするための型を取ります。
型を取ることによって、削った部分を
完全にふさぐ詰め物が出来上がる訳です。
ですから、
その日は仮の詰め物をして帰っていただくことになり、
後日に正式に詰め物をします。
1回だけで詰めてしまうことも可能なのですが、
虫歯が大きくて削る部分が多いほど、
時間が経つと、詰め物と、歯のほんの小さなすき間に
虫歯菌が入り込み、また虫歯ができることが多いので、
型を取った詰め物で完全にすき間をなくします。
ですから大きな虫歯であれば
2回程度は治療に来ていただく必要があります。
「2回も行かないといけないなんて、めんどくさいなぁ。」
と、思われるかもしれませんが、
その方が結果的には、5年10年経ったときに
同じ部分がまた虫歯になる可能性がぐっと減ります。
もちろん、患者さんには
何度も来ていただくというのは負担になりますから、
小さなものはできるだけ1回の治療で済ませるようにしますし、
ほんの小さいものであれば、削ることはしないようにして
フッ素塗布だけして様子を見るようにします。 |